最近米国のリセッションの話題が上がり、それに連動して株価の下落が懸念されています。リセッションについてなんとなくはわかっていたのですが、いい機会なので調べてみましたので、共有させて頂きます。
リセッション(景気後退)とは、経済活動が縮小し、成長が停滞またはマイナス成長に陥る状態を指します。一般的に、GDP(国内総生産)が2四半期連続でマイナス成長するとリセッションとみなされることが多いですが、正式には全米経済研究所(NBER: National Bureau of Economic Research)がリセッションの認定を行います。
リセッションの定義
リセッションは単純に「GDPがマイナス成長したら発生する」と考えがちですが、実際には以下の6つの指標を総合的に評価して判断されます。
NBERが参考にする主要指標
- GDP(国内総生産):経済全体の生産活動を測定する指標。
- 雇用(非農業部門雇用者数):企業が労働者をどれだけ雇用しているか。
- 個人所得(実質可処分所得):消費者の可処分所得の変動。
- 工業生産指数:製造業、鉱業、電力業などの生産活動を測る指標。
- 小売売上高(個人消費):消費者の購買意欲を反映する指標。
- 企業利益(法人収益):企業の業績が景気にどう影響しているか。
ポイント:
- これらの指標が複数の月にわたって悪化し、経済全体が広範囲にわたって低迷する場合にリセッションと認定されます。
過去の米国リセッションの歴史
アメリカ経済はこれまでに何度もリセッションを経験しています。以下は、特に影響の大きかったリセッションの例です。
期間 | リセッションの名称 | 主な原因 |
---|---|---|
1929-1933 | 世界恐慌(Great Depression) | 株式市場の暴落、銀行破綻、大量失業 |
1973-1975 | オイルショック | 原油価格の急騰、スタグフレーション(景気後退+インフレ) |
1980-1982 | 高金利による不況 | FRB(連邦準備制度)の政策金利引き上げ |
2001 | ITバブル崩壊 | ドットコム企業の破綻、株価暴落 |
2007-2009 | リーマン・ショック(金融危機) | サブプライムローン問題、金融機関の破綻 |
2020 | 新型コロナウイルス(COVID-19)不況 | ロックダウンによる経済活動の停止 |
リーマン・ショック(2007-2009)
- サブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)の焦げ付き
- 金融機関の破綻(リーマン・ブラザーズの倒産)
- 失業率の急上昇(最大10%)
- 政府の金融緩和政策(ゼロ金利政策・量的緩和の実施)
新型コロナショック(2020)
- 経済活動の急停止(ロックダウン)
- 失業率の急上昇(最大14.8%)
- FRBの緊急利下げ(ゼロ金利政策+QE4)
- 政府による大規模財政刺激策(3兆ドル以上の経済対策)
リセッションの原因
(1) 金利上昇
- FRB(連邦準備制度)の利上げによって、企業の借入コストが増加し、投資・消費が減少。
- 例:1980年代、2000年代の金利上昇局面でリセッションが発生。
(2) 金融危機
- 銀行や投資機関の破綻が発生すると、信用収縮が起こり、企業・消費者の資金調達が困難になる。
- 例:2008年のリーマン・ショック。
(3) 供給ショック
- 原油価格の急騰、サプライチェーンの混乱が起こると、企業のコストが上昇し、経済活動が鈍化。
- 例:1970年代のオイルショック。
(4) 株価暴落
- 株価が急落すると、消費者の資産が減少し、消費支出が落ち込む。
- 例:1929年の世界恐慌、2001年のITバブル崩壊。
(5) 政治的・地政学リスク
- 貿易戦争(米中貿易摩擦)、戦争、パンデミックなどが経済に悪影響を与える。
- 例:2020年のコロナショック。
リセッションの影響
リセッションが発生すると、以下のような影響が生じます。
(1) 雇用
- 失業率の上昇
- 企業の倒産が増え、労働者の雇用が不安定になる。
(2) 金融市場
- 株価の下落
- 投資家のリスク回避が進み、安全資産(米国債・金)に資金が流れる。
(3) 消費
- 消費者の支出が減少
- 住宅・自動車・高級品の販売が落ち込む。
(4) 政府の政策対応
- FRBは金利を引き下げ、金融緩和政策(量的緩和)を実施する。
- 政府は**財政刺激策(減税・給付金・公共投資)**を行う。
今後の米国リセッションのリスク
✅ 現在のリセッション懸念
2024年現在、米国では以下の要因からリセッションが懸念されています。
- FRBの利上げ継続
- 2022年からの急速な利上げにより、経済成長が鈍化。
- 企業の資金調達コストが増加。
- インフレの継続
- 物価高が続き、消費者の購買力が低下。
- 地政学リスク
- ウクライナ戦争、中東情勢の悪化。
- 金融不安
- 地方銀行の経営悪化(例:2023年のシリコンバレー銀行破綻)。
✅ 今後のシナリオ
- ソフトランディング(穏やかな成長鈍化):FRBの利下げが成功し、経済が安定成長を維持。
- ハードランディング(深刻なリセッション):急激な金融引き締めが続き、企業の倒産や失業率の急上昇が発生。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
リセッションの定義 | GDP成長率の低下、雇用・生産・消費の減少 |
原因 | 金利上昇、金融危機、供給ショック、株価暴落、地政学リスク |
影響 | 失業率上昇、株価下落、消費減少、政府の景気対策 |
今後のリスク | FRBの利上げ継続、インフレ、地政学リスク、金融不安 |
米国経済は今後数年間、金利政策やインフレ動向に大きく影響を受けるため、リセッションリスクを注視する必要があります。
※投資はあくまでも自己責任で※
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