前回(Recession(リセッション))で米国のRecession:景気後退局面について共有させて頂きましたが、その状況下で米国債を購入するかどうか迷っており、米国債について調べてみましたので、共有させて頂きます。
米国債(U.S. Treasury Securities)とは?
米国債(U.S. Treasury Securities)は、米国政府(財務省)が発行する国債であり、世界で最も信用度の高い金融資産の一つとされています。発行目的は、政府の財政支出の補填や市場の資金調達です。
米国債の種類
米国債は、満期までの期間や利払いの仕組みによって以下の3種類に分類されます。
(1) 短期国債(Treasury Bills, T-Bills)
- 満期:4週間、8週間、13週間、26週間、52週間(1年未満)
- 利払い:ゼロクーポン債(割引方式で発行され、満期時に額面を受け取る)
- リスク:金利リスクが小さい(短期間で償還されるため)
- 用途:流動性が高く、短期運用や安全資産として利用される
(2) 中期国債(Treasury Notes, T-Notes)
- 満期:2年、3年、5年、7年、10年
- 利払い:半年ごとにクーポン(金利)を支払い
- リスク:金利変動の影響を受ける(特に5年以上のものは価格変動リスクが大きい)
- 用途:金利収入を得ながら中期的な投資をしたい人向け
(3) 長期国債(Treasury Bonds, T-Bonds)
- 満期:30年
- 利払い:半年ごとにクーポン(金利)を支払い
- リスク:長期金利の影響を大きく受け、価格変動が激しい
- 用途:長期的な安定収入を得るために活用
その他の特別な米国債
(1) 物価連動国債(Treasury Inflation-Protected Securities, TIPS)
- 特徴:インフレに連動して額面が変動(インフレに強い)
- 利払い:半年ごとにクーポンを支払い(額面が変動するため、クーポン額も変化)
- 用途:インフレリスクを避けるためのヘッジ資産
(2) ストリップ国債(STRIPS)
- 特徴:利息部分(クーポン)と元本部分(プリンシパル)を分離し、ゼロクーポン債として取引される
- 用途:長期の確定リターンを狙う投資や、金利変動の影響を利用した運用
米国債の利回りと価格の関係
米国債は、市場の金利動向に強く影響を受けます。
- 金利上昇 → 米国債価格は下落
- 投資家はより高金利の新発債を好むため、既発債(低金利のもの)の価格が下がる
- 金利低下 → 米国債価格は上昇
- 既発債(高金利のもの)の価値が高まるため、市場価格が上がる
また、長期債ほど金利変動の影響を受けやすい(デュレーションが長いため)という特徴があります。
米国債の購入方法
(1) 直接購入
- TreasuryDirect(米国財務省のサイト):個人が直接購入可能(ただし米国市民・居住者向け)
- 証券会社(Fidelity, Schwab, Vanguard など):海外投資家も利用可能
(2) ETF・投資信託を通じて購入
- 米国債ETF(例:TLT, IEF, SHY):
- TLT(20年以上の長期債)
- IEF(7-10年の中期債)
- SHY(1-3年の短期債)
- 投資信託(米国債ファンド):
- 資産運用会社が複数の米国債を組み合わせて運用
米国債のメリットとデメリット
✅ メリット
- 信用リスクが極めて低い
- 米国政府が保証しているため、世界で最も安全な資産の一つ。
- 流動性が高い
- 市場規模が世界最大級のため、いつでも売買可能。
- 金利収入が得られる
- T-NotesやT-Bondsは半年ごとにクーポンを支払うため、安定した利回りが期待できる。
- インフレヘッジが可能
- TIPSを活用することで、インフレによる購買力の低下を防ぐことができる。
❌ デメリット
- 金利リスク
- 金利が上昇すると、米国債の価格は下落する(特に長期債は影響が大きい)。
- インフレリスク
- 通常の米国債(T-Bills, T-Notes, T-Bonds)はインフレに弱いため、実質価値が目減りする可能性がある(TIPSでヘッジ可能)。
- 為替リスク
- ドル建て資産のため、為替レートの変動によって円換算価値が変動する(特に日本の投資家は注意が必要)。
- 税金
- 利子所得は課税対象となる。
- 米国での源泉徴収税(通常30%、日米租税条約で10%に軽減可能)。
- 売却益にはキャピタルゲイン税がかかる(ただし、長期保有の場合は税率が低減)。
6. 米国債を使った投資戦略
(1) 安定運用
- 長期債(T-Bonds)や中期債(T-Notes)をポートフォリオに組み込み、安定した利息収入を確保する。
(2) キャピタルゲイン狙い
- 金利が低下すると、米国債の価格が上昇するため、ETF(TLT など)を利用して値上がり益を狙う。
(3) インフレヘッジ
- TIPS(物価連動国債)を活用し、インフレリスクを回避する。
(4) 短期資金の運用
- T-Bills(短期国債)を利用して、安全性の高い短期投資を行う。
まとめ
特徴 | 詳細 |
---|---|
発行体 | 米国財務省 |
信用リスク | ほぼゼロ(米国政府保証) |
流動性 | 高い(市場規模が大きい) |
金利リスク | あり(特に長期債) |
インフレリスク | あり(TIPSを活用すれば対策可能) |
購入方法 | TreasuryDirect、証券会社、ETF |
用途 | 安定収入、キャピタルゲイン、インフレヘッジ |
米国債は、世界で最も安全な資産の一つでありながら、金利動向や市場環境に大きく影響されるため、投資戦略をしっかり考えることが重要です。
※投資はあくまでも自己責任で※
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