トランプ関税妥結?

投資

日本と米国は 2025年7月22〜23日に、トランプ政権下で関税に関する大枠合意に至り、両国間の貿易摩擦回避と経済安定化を目指す一歩を踏み出しました。株価もそれに連動して先週大きく上げています。ただ、本当に日本にとって良かったのか?少し考察してみました。

✅ 合意の概要【主要内容】

① 関税引き下げ:25% → 15%

米国は当初日本に対し、乗用車や自動車部品を含む複数カテゴリーで最大25%関税を課すと表明していましたが、本協定によりこれを15%に引き下げることが決定しました。

② 投資コミットメント:5500億ドル規模

日本側が 5500億ドルの米国投資を約束。半導体、製薬、自動車、AIなど複数セクターへの投資が見込まれており、日米経済協力が深化する形です 。

③ 農産・自動車市場の相互開放

日本は米国産ライスの輸入拡大(WTOの枠組内)、米国車・農産品への規制緩和を約束。一方で、自動車安全基準や性能規制の見直しなど米国企業の日本市場アクセス拡充が含まれます。

④ 対米投資の利益分配

米側は日本側が出資する投資利益の90%を米国側が留保。残り10%が日本に帰属する構造で、投資リスクと利益配分は米側優位とされています。

⑤ 鉄鋼・アルミ・半導体関税は別途

現在50%の関税が課された鉄鋼・アルミ・特定半導体製品については、本協定では対象外で、今後個別に交渉・見直しが継続されます。


📌 合意のインパクトと評価

市場反応

  • 東京・ウォール街ともに株高反応が顕著で、特にトヨタ・ホンダなど日系自動車株が急騰 。
  • 欧州市場にも波及し、米EU間の合意期待感と相まってStoxx Europe 600等も上昇しました。

経済的意義

  • 関税圧力の軽減により日本の自動車輸出業には一定の支え。ただし15%関税は従来の2.5%に比べれば負担増で、企業側は価格戦略見直しを迫られる可能性があります。
  • 合意により短期的な景気後退リスクは緩和され、世界経済のリスクオフ回避につながったと評価されています。

批判・懸念

  • 米国自動車メーカー(GM、Ford、Stellantisなど)は「日本製車だけ優遇され、自社製車には依然25%課税だから不公平」と強く反発 。
  • 投資利益の90%米国保持条項に対して、専門家や一部日本側は「日本から出すカネの大半が米国に流れる」と批判的見解もあり。

🔭 今後の展望と注目点

✅ 日本政府と企業の注視領域

  • 投資の 具体的実行スケジュールと成果の検証(いつどこでどのような案件に使われるか)
  • 米国製自動車へのアクセス緩和がどの程度進展するか(安全・認証要件の具体化)
  • 鉄鋼・アルミ・半導体関税の扱いと残された交渉の行方

✅ 日米間の制度的信頼醸成

  • 双方が合意内容を正式文書で整備・可視化するかどうかが今後の政策の信頼性に関わります。

✅ 日本銀行・金融市場への影響

  • BOJはこの貿易安定化を機にやや楽観的な経済見通しにシフトする可能性があり、秋以降の利上げ再開の材料となると見られています。

✅ グローバルな交渉モデルとして

  • 日本との交渉は、EUや英国、ASEAN諸国との米国交渉のテンプレートになり得る節があり、今後類似の15%合意型が他国に波及する可能性も高まっています。

🧾 総まとめ

項目内容
主な合意内容関税15%に引き下げ、5500億ドル投資、農・自動車市場開放
日本のメリット関税リスク軽減、自動車輸出維持、世界市場の安定感
米国のメリット投資誘致、対日貿易不均衡改善、自国産業保護
懸念点自動車公平性、日本投資のリターン構造、合意の曖昧さ
今後の注目投資実行、非関税措置、残項目の交渉、BOJの対応

✅ 結論

本協定は、”全面的な関税戦争回避”の局面として、日本にとっては最悪のシナリオ(25%課税)を一段軽減した意味ある妥結です。ただ、事後の投資施策の具体性や自動車の市場構造、公平性といった構造的課題は残っており、政治・経済の次フェーズにおいて重要な論点となります。この合意を足がかりに、今後の政策明確化・市場調整・与野党間の責任追及にも注目が必要ですね。

個人的には、投資額と利益が90%以上米国というのが気になりました。

5500億ドルって、日本円で80兆円ですからね。どっからそのお金出すんだろう。。。

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