アメリカにも「就職氷河期世代」に相当する世代は存在しますが、日本や中国のように明確に“就職氷河期”という名称で区切られてはいません。しかし、アメリカでも経済危機や社会構造の変化により、特定の世代が長期間にわたって経済的苦境に置かれたことがあり、学術的・社会的にしばしば「失われた世代(Lost Generation)」「ミレニアル氷河期(Millennial recession cohort)」などと呼ばれます。
🇺🇸 アメリカにおける“氷河期世代”の概念
📅 主に影響を受けた世代と時期
世代名 | 生年 | 氷河期体験 | 主な要因 |
---|---|---|---|
ミレニアル世代 | 1981〜1996年生まれ | 2008年のリーマンショックによる雇用難 | 世界金融危機、住宅バブル崩壊 |
ジェネレーションZ | 1997年以降 | 2020年のコロナショックによる就職難 | パンデミックとリモート社会 |
🔍 ミレニアル世代の「氷河期」的特徴
1. リーマンショック直撃
- 2008年〜2009年:失業率10%前後
- 新卒者の多くが就職先を失い、「Graduated into a recession」(不況下で卒業した)というレッテルが貼られた
- 初任給が低く、キャリアの立ち上がりに失敗した例が多い
2. 奨学金負担
- アメリカでは学費高騰が続いており、卒業時の学生ローン残高は平均$30,000以上
- 就職が遅れることでローン返済が困難に
3. 住宅購入の遅れ・資産形成の困難
- 就職難と低賃金により、住宅ローンの審査に通らず、不動産資産を築けなかった
- 「rent generation(賃貸世代)」とも呼ばれた
4. 世代間格差の拡大
- ベビーブーマー(団塊世代)が築いた資産・年金制度の重みに対して、ミレニアルは「払う側」に
- 賃金は横ばいなのに、医療費・教育費・住宅価格は上昇 → 資産格差が拡大
📊 データで見る影響
- 米連邦準備制度(FRB)のレポートによると、ミレニアル世代の平均純資産は同年齢のベビーブーマーの約50%未満(2020年時点)
- 2022年の調査では、ミレニアルの約60%が「自分は親より貧しくなる」と回答
💬 社会的な用語・風潮
用語 | 意味 |
---|---|
“Graduating into a recession” | 不況下で卒業し、初期キャリアに打撃を受けた |
“Lost Millennials” | キャリアと資産形成の両方で後れを取った層 |
“Boomerang generation” | 一度出たが経済的に困窮して実家に戻った若者たち |
“Rent generation” | 家を持たず賃貸で暮らし続ける層 |
“Millennial burnout” | 成功を求め過ぎた結果、精神的に燃え尽きた人々 |
🏛️ 政府・社会の対応
- 学生ローン免除策(バイデン政権のキャンペーン政策)
- 住宅購入支援や若者向け税控除政策
- ユニバーサルベーシックインカム(UBI)議論の高まり
しかし、多くは政治的対立により十分な制度実現には至っていません。
🧠 日本の氷河期世代との比較
項目 | 日本 | アメリカ |
---|---|---|
呼称 | 氷河期世代 | “Lost Millennials”, “Recession graduates” |
発生時期 | 1993~2005年 | 2008年頃(リーマン)~2020年(コロナ) |
主因 | バブル崩壊と雇用硬直化 | 世界金融危機+高学費+資産格差 |
雇用形態 | 非正規雇用多い | 契約・フリーランス・ギグ経済への移行 |
社会評価 | 社会的に置き去り | 「下流化した高学歴層」との批判も |
🔮 今後の展望
- アメリカでは「Gen Z」もパンデミックで同様の課題を抱えており、「二重氷河期世代」が形成されつつある
- 格差是正策や教育・医療のコスト削減が、ミレニアル世代の再起の鍵
- ギグワークやリモートワークの普及が、再就職や副業機会を広げている
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