中国にも日本と同じく「就職氷河期」に相当する世代が存在するようです。これは日本の「就職氷河期世代(1990年代後半〜2000年代初頭)」と同様、卒業後に安定的な就業が困難だった世代を指します。ただし、中国特有の社会構造や経済背景により、異なる特徴を持っています。今回はそんな中国の氷河期世代を調べてみました。
🇨🇳 中国の就職氷河期世代とは?
🧊 概要
中国では一般に「就业困难群体」や「毕业即失业世代」などと呼ばれます。明確な定義はありませんが、以下の時期が該当します:
時期 | 主な氷河期背景 |
---|---|
2003年頃 | 国有企業改革による大量リストラ(下崗)後の競争激化 |
2008年〜2010年 | 世界金融危機による雇用縮小 |
2020年〜現在 | コロナ禍と若年層雇用難、ゼロコロナ政策の影響、IT企業の規制強化 |
🔍 特徴と背景
1. 大学進学の大衆化と学歴のインフレ
- 1999年以降、中国政府は「高等教育の拡大政策」を進め、大学卒業生が急増。
- 2000年:年間100万人 → 2023年:1,150万人超
- これにより学歴の希少価値が低下し、大卒でも就職が困難に。
2. 都市部と地方の格差
- 地方出身者は都市での就職競争で不利。**戸籍制度(戸口)**により、都市での生活権利・福祉が制限される。
3. 構造的な雇用不足
- 国家機関・国有企業の採用数が限定的。
- 民間企業も経済成長鈍化に伴い、新卒の大量採用を抑制。
4. 「考公熱(公務員志向)」の高まり
- 安定を求める若者が公務員試験に殺到。倍率数百倍も。
- 民間より待遇が良く、「内巻(ネイジュアン、過剰競争)」の象徴。
📉 影響
項目 | 内容 |
---|---|
就職状況 | 新卒で就職できず、アルバイトや短期雇用に流れるケースが増加 |
心理的影響 | 焦り・不安・無気力、「躺平(寝そべり)」や「啃老(親に依存)」が社会問題化 |
経済的影響 | 消費力の低下、婚姻・出産の遅れ、住宅購入が難航 |
社会現象 | 「慢就业(就職までの時間が長引く)」、「就业难」などのキーワードが広がる |
🧠 世代のキーワード
用語 | 意味 |
---|---|
躺平(タンピン) | 「寝そべり」=競争社会を放棄し、最低限の生活を選ぶ |
啃老(カンラオ) | 「親に依存する」=親の資産で生活する若者 |
内巻(ネイジュアン) | 価値を生まない過剰競争、終わりなき努力の疲弊 |
🏛️ 政府と社会の対応
✅ 政策例
- 雇用創出政策:スタートアップ支援、大学新卒向け職業訓練
- 地方配属促進:農村振興に若者を送り込む「大学生村官制度」
- 民間連携強化:IT・製造業への新卒枠の開放
しかし、構造的な需給ミスマッチと、希望職種とのギャップが依然として大きいのが実情です。
🇯🇵 日本との比較(参考)
項目 | 日本の就職氷河期世代 | 中国の氷河期的世代 |
---|---|---|
発生時期 | 1993〜2005年頃 | 2003年頃〜現在も継続中 |
背景 | バブル崩壊、少子化 | 経済変動、人口増、高学歴化 |
社会現象 | 非正規雇用、未婚率上昇 | 躺平、啃老、内巻など |
政府対応 | 氷河期支援プログラム(再訓練など) | 若年雇用促進・農村配属政策など |
🔮 今後の展望
- 高学歴難民の増加が教育・就職の在り方を問う社会問題に。
- 中国経済の構造転換(製造→サービス、IT→AI)に追いつけるかがカギ。
- 若者の就業支援、労働市場の柔軟化、福祉の整備が不可欠。
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