韓国にも「就職氷河期世代(취업 빙하기 세대)」と呼ばれる層が存在し、日本や中国と同様に、経済危機の影響で就職活動が極めて困難だった世代として社会問題となっています。韓国ではこの世代の存在と影響が、2020年代に入ってからようやく本格的に認識されるようになりました。
🇰🇷 韓国の就職氷河期世代とは?
📅 定義・時期
- 一般に、1997年のアジア通貨危機〜2000年代半ばに大学卒業を迎えた層を指します。
- 生年でいうと1975年〜1985年頃に生まれた人が中心です。
発生時期 | 主な背景 |
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1997年 | IMF通貨危機(韓国経済がIMFに支援を要請) |
1998〜2003年頃 | 構造調整(大量の企業倒産・解雇)で新卒採用が激減 |
🔍 特徴と影響
1. IMF危機の影響で採用が壊滅的
- 韓国政府は構造改革を進め、大手企業は大規模な人員削減を実施。
- 終身雇用文化の崩壊とともに、新卒採用がほぼゼロに近い年も発生。
2. 受験競争・スペック社会での「敗北感」
- 韓国社会は「スペック社会」と呼ばれ、学歴・語学力・資格などの“条件”を重視。
- 就職できなかった氷河期世代は「スペック不足」とみなされ、社会的劣位に置かれた。
3. 非正規雇用・中小企業就職が多数派
- 正社員として就職できず、短期契約職、派遣社員、アルバイトでキャリアが固定化。
- 大企業への再就職がほぼ不可能に。
4. 社会的孤立・心理的影響
- 「青年白書」などの政府調査でも、氷河期世代の多くが無職・未婚・親と同居の状態。
- うつ病、自殺率の上昇もこの世代で顕著。
💬 韓国社会での呼称とイメージ
用語 | 意味 |
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취업 빙하기 세대(就職氷河期世代) | 文字通り、就職機会がなかった世代 |
잃어버린 세대(失われた世代) | 国家レベルで機会を失ったという認識 |
청년실업세대(青年失業世代) | 長期にわたる失業状態の若者たち |
📊 データで見る就職氷河期の影響
- 氷河期世代の正社員率は約30%未満
- 同世代の中小企業就職率:約70%以上
- 世帯形成率(結婚・子育て)は他世代より圧倒的に低い
- 平均年収も20〜30代の若手より低い逆転現象が見られる
🏛️ 政府の対応と支援政策(2020年代以降)
韓国政府はこの世代を「構造的に排除された層」として以下の政策を発表:
✅ 支援策の例
- 2021年:「就職氷河期世代支援政策」発表
- 再教育プログラム
- 公的機関への特別採用枠
- 職業訓練+生活支援金の提供
- 雇用労働部による「再挑戦型インターン制度」
- 氷河期世代を対象にしたインターンシップで正規雇用へ誘導
- 「就職氷河期特別法案」構想
- 日本のような法制度化を求める市民団体の動きあり(2023年以降)
🔮 今後の課題と展望
課題 | 解説 |
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キャリアブランクの克服 | 長期の非正規歴・無職歴が再就職を難化 |
年齢差別の克服 | 韓国では依然として年功序列の慣習が根強い |
家族形成の困難 | 未婚・無子率が高く、少子化問題と直結 |
世代間格差 | ベビーブーム世代と氷河期世代の年収・資産差が深刻化 |
🇯🇵🇰🇷 日本との比較
項目 | 日本 | 韓国 |
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発生時期 | 1993〜2005年頃 | 1997〜2005年頃 |
主因 | バブル崩壊 | IMF危機・構造改革 |
社会支援 | 再就職支援プログラム・氷河期世代支援パッケージ | 雇用特別枠、再訓練制度(2021年以降強化) |
社会認識 | 明確な「氷河期世代」概念が浸透 | ようやく政策として本格認識された段階(遅れ) |
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